MS法人の代表者は誰にする?役員選びの注意点

MS法人の代表者は誰がなってもいいのでしょうか?

個人院の院長先生、医療法人の理事長はMS法人の代表者になってもOK??

ここでは個人院と医療法人、それぞれでMS法人の人選についてみていきます。

また、MS法人には株式会社や合同会社などがありますが、わかりやすく株式会社を例にしてお話していきます。

※医療法人の役員については「医療法人社団の社員と役員  ~人選のポイント~」をご覧ください。

1.MS法人の代表者等(個人クリニック)

医療法人がMS法人をつくる場合には縛りがある、という話は聞いたことがあるのではないでしょうか。

それでは個人クリニックの場合はどうなのでしょうか。

厚労省の「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」より引用

開設者である個人及び当該医療機関の管理者については、原則として当該医療 機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等の役職員を兼務していないこと。

ここで記載されている「当該医療機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等」がMS法人のことです。

院長先生はMS法人の代表者はもちろん、他の役員も一従業員になることもNGです。

院長先生以外のご家族(奥様やお子様など)はクリニックで勤務していてもしていなくてもMS法人の代表者、他の役員、従業員など(以下、代表者等と記載します)どれに就いてもOKです。

ただし、将来的に医療法人化する可能性がある場合には、次の「2.MS法人の代表者等(医療法人)」もご確認ください。

法人化した時を想定してMS法人の代表者等を選ぶようにしましょう。

 

2.MS法人の代表者等(医療法人)

それでは医療法人の場合はどうなのでしょうか。

1.でみたように「管理者」はMS法人の役職員にはなれません。

これは個人、法人に関係なくクリニックの院長先生はNGということです。(分院長も)

それ以外にはどのような縛りがあるのでしょうか。

同じく、厚労省の「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」より引用します。

開設者である法人の役員、原則として当該医療機関の開設・経営上 利害関係にある営利法人等の役職員を兼務していないこと。

例えば院長の奥様がクリニックで勤務していても個人院の場合にはMS法人の代表者等になってもOKでした。

しかし、医療法人の場合には、奥様が医療法人の役員になっていれば、クリニックで勤務していなくてもMS法人の代表者等にはなれません。

逆に奥様が医療法人の役員には就いていなく、クリニックで勤務している場合はどうでしょうか。

この場合は奥様はMS法人の代表者等になれます。

先に述べた管理者(院長、分院長)については、医療法人では必ず役員になっています。

つまり、医療法人の場合は医療法人の役員とMS法人の代表者等は兼務できない、ということになります。

 

3.例外

上述の1と2の内容を簡単にまとめるとMS法人の代表者等になれない人は次のようになります。

個人クリニック → 院長

医療法人 → 役員

ただし、例外として上記の人でもMS法人の役員になれる場合もあります。

クリニックや医療法人の非営利性に影響を与えない、取引額が少額などいくつかの条件をクリアすれば「例外的にOK」となるケースもあります。

ただし、あくまでも「例外」なので、MS法人をつくるときは原則に沿っていた方が無難でしょう。

 

4.MS法人の株主は?医療法人の社員は?

ここまではMS法人の代表者等、つまり役員と従業員について述べてきました。

MS法人の役員ではなく「株主」はどうなのでしょうか。

また、医療法人の役員ではなく「社員」もMS法人の代表者等にはなれないのでしょうか。

MS法人の株主、医療法人の社員については兼務禁止の規定はありません。

院長や理事長がMS法人の株主になったり、MS法人の代表者が医療法人の社員になることはOKです。

 

5.まとめ&一覧表

ここまでの内容をわかりやすく表にまとめてみました。

 
  MS法人
株主 役員 従業員
個人院 院長 × ×
院長以外
医療法人 役員 × ×
役員以外の従業員
社員

※については例外あり

以上のように、MS法人をつくる時には決まりがあります。

MS法人をつくる時には節税ばかりを気にして後で困った、ということがないよう注意してください。

特に個人クリニックで将来的に医療法人化するかもしれないクリニックは法人化後のことも視野に入れてMS法人をつくるようにしてください。

(注意)医療機関及び医療法人とMS法人についての解説になります。MS法人の業務内容によっては上記表で〇の部分も×になることがあります。

 

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