医療法人が毎年決算後に必要な手続き ~まとめ~

毎年会計年度終了後に決算書を税務署へ提出し忘れる医療法人はまずないと思います。

しかし、その後の手続き漏れは意外に多く、また手続きをしてはいるものの、途中までしかしていない医療法人も少なくはないです。

顧問税理士が必ずしも医療法人の手続きを熟知しているとは限りません。

以下、税務署提出の決算書以外の手続きをまとめて記載します。

決算後の手続きに漏れがないかチェックしていただければ幸いです。

1.事業報告書等提出(決算届)

医療法第51条により、医療法人は毎年会計年度終了後3か月以内に都道府県知事へ次の書類を提出しなければなりません。

  • 事業報告書
  • 財産目録
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 監事の監査報告書

上記書類は共通ですが、MS法人との取引状況や医療法人の資産状況等に応じて追加の書類が必要な場合もあります。

管轄の都道府県でどのような取り扱いになっているか、ご自身の医療法人が必要な書類はどこまでか必ず確認するようにしてください。
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2.登記

組合等登記令第3条により、医療法人は毎年会計年度終了後3か月以内に資産総額の変更登記が必要になります。

登記事項証明書にその年度の資産総額が記載されます。

【追記】組合等登記令の改正に伴い、平成29年4月1日から資産総額の変更登記の期限は「2か月以内⇒3か月以内」になりました。
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3.登記の届出

医療法施行令第5条の12により、医療法人は登記をした時は遅滞なく都道府県知事へ登記をしたことを届け出なければなりません。

登記の届出の書類ですが、名称・様式は各都道府県により異なります。

しかし、基本的に内容は「いつどんな登記をしたか」なので同じになります。
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4.2年に1度の手続き(役員変更届)

役員変更があった時には、その都度、遅滞なく都道府県知事へ届け出なければなりません。

しかし、それ以外にも2年に1度、役員の重任があります。

医療法人の役員の任期は2年です。

たとえ役員に変更がなくても2年でいったん任期は満了します。

同じ人が続けて次の期も役員に就任する時は「重任」といいますが、その届出が必要になります。

また、理事長は、登記・登記の届出も必要になります。

ずっと理事長に変更がなく重任を繰り返した場合には、登記事項証明書には2年ごとに同じ理事長の名前が追加されていきます。(厳密には過去の理事長名には下線が引かれ、現在の内容と区別されています)

定款により役員満了の時期は異なりますが、決算後の手続きと時期が合う場合には合わせておこなうと効率的です。

参考:医療法人の役員変更届 登記や提出期限は?
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5.思わぬミスを避けるために

毎年、税務署への決算書提出も含めこの手続きをすべて代行しようとしたら、税理士・行政書士・司法書士がかかわってきます。

表にすると次のようになります。

提出先 提出書類 代行可能な士業
税務署 決算書 税理士
都道府県知事 事業報告書等提出、登記の届出、役員変更届 行政書士
法務局 登記 司法書士

 

一連の流れで作業するので、通常は各士業が連携して作業をおこないます。

しかし、残念なことにすべてをやってしまう士業もいます。

注意)士業が業務範囲外の手続きを行うことは違法行為です。

決算書提出後に行政書士や司法書士へ委任していますか?

行政書士へ委任後に司法書士への委任はしましたか?

専門外の士業が業務範囲外のことをしようとすれば手続き漏れはもちろん、事故の可能性も高いです。

些細なミスが後々に大きく響くこともあるので必ず各専門の士業へ依頼するようにしましょう。
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6.まとめ

医療法人は毎年会計年度終了後(決算後)には上記手続きをしなければなりません。

様式は各都道府県ごとに異なりますが、基本的な内容は法令で定められているので同じです。

しかし、毎年のことなのに漏れが少なくないのも事実です。

今一度チェックし、もしご不安があればご相談ください。

早期の対処でリスクを最小限に抑えていきましょう。

 

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