持分なし医療法人でも相続の対象となるもの
出資者の死亡により相続税が課税されない「持分なし医療法人」
そんな持分なし医療法人でも相続の対象となるものがあります。
ここでは見落としがちなものを抜粋してみていきます。
医療法人やクリニックの相続全般については「知っておきたい!クリニック相続のポイント」でご確認ください。
1.何が相続対象外になるのか
まず、持分なし医療法人が相続対象外になるものはなんなのでしょうか。
簡単にいうと「医療法人名義の財産すべて」です。
持分あり医療法人は「出資者」といういわゆる株主のような人がいます。
持分なし医療法人はこの「出資者」という概念がありません。
そのため、医療法人名義の財産は理事長など事実上の支配者が亡くなっても相続の対象にはなりません。
2.土地・建物は?
医療法人がテナントを借りている場合は特に問題はありません。
※賃貸借契約の保証人については項目4.「理事長が保証人だったら?」をご確認ください。
土地や建物が医療法人名義だった場合も1.で解説したとおり医療法人名義のままです。
ただし、土地や建物が理事長名義で医療法人に賃貸借していた場合はどうでしょうか。
土地や建物は理事長個人の財産なので、理事長がお亡くなりになればもちろん相続の対象となります。
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3.拠出した基金は?
持分なし医療法人には「出資者」はいませんが、「基金拠出型」の場合は「拠出者」がいます。
この拠出金は拠出者が医療法人に無利息で貸しているお金です。
債権債務は相続の対象です。
つまり、拠出者が亡くなった場合は、拠出者→医療法人への債権が相続の対象となります。
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4.理事長が保証人だったら?
医療法人が金融機関等から借入するときに「保証人」を求められると思います。
金銭消費貸借契約書では借入人が医療法人、理事長個人が保証人となっていることが多いのではないでしょうか。
この場合、理事長個人が亡くなった場合には「保証人の地位」が相続の対象となります。
つまり、医療法人からの借金の返済が滞った場合には「保証人」に返済義務が生じます。
5.まとめ
「持分なし医療法人は相続が発生しない」ということで厚労省などがアピールしてはいますが。
相続が発生しないのはあくまでも「医療法人名義の財産」の部分です。
理事長個人名義の財産については普通に相続の対象となります。
「持分なしだから医療法人については相続対策は不要」とは思わずにしっかりと対策されることをお勧めします。
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