クリニックの相続・承継をお考えの方向けに相続の基本や注意して欲しいことをまとめました。

後半の相続税については医療法人やクリニックから数多くの相談を受けている加納税務会計事務所の加納豊彦税理士にまとめていただきました。

個人院、医療法人によって違いがある部分もありますので、個々の状況に応じてご確認いただければと思います。

 

もくじ

抑えておきたい!~ 相続のきほん ~

  1. 法定相続人
  2. 代襲相続
  3. 相続させたくない人がいる
  4. 廃除できなかったら?
  5. クリニックの建物や土地はどうなるの?
  6. クリニックの経営は?
  7. 医療法人は相続対象??

見落とし厳禁⚠~ 相続税について ~

  1. 相続税の対象財産
  2. 財産評価上のお得な特例
  3. 相続税の対象財産から差し引けるもの
  4. 相続税がかからない範囲(基礎控除額)
  5. 相続税の税率
  6. 相続税から控除されるもの
  7. 相続税の申告、納付期限
  8. 相続税の申告期限までに申告、納付が出来なかった場合
  9. 相続税の申告期限までに遺産分割が出来なかった場合
  10. 相続税を現金一括で納付出来なそうな場合

まとめ
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抑えておきたい!~ 相続のきほん ~

前半では意外と見落としがちだったり知らなかったりする相続の基本を、後半ではクリニックの相続について個人院と医療法人それぞれ知って欲しいことをまとめました。
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1.法定相続人

相続の基本中の基本、法定相続人について表にしました。

順位 相続人からみた続柄 法定相続割合
常に 配偶者 相続人による
第一順位 2分の1
第二順位 直系尊属(親など) 3分の1
第三順位 兄弟姉妹 4分の1

<例>配偶者、子A、子B、兄がいた場合

配偶者:2分の1

子A:4分の1 子B:4分の1(子A+子B=2分の1)

兄:0(子がいるので相続人にならない)
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2.代襲相続

被相続人(相続財産を残す人)より先に相続人が亡くなった場合には、その子が代わりに相続します。

ただし、相続人が子、兄弟姉妹の場合のみ。

子はずっと代襲相続は続く(子→孫→ひ孫…)

兄弟姉妹は一代限り(兄→兄の子→×兄の孫)
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3.相続させたくない人がいる

相続させたくない人が兄弟姉妹なら遺言書でOK

配偶者、子、直系尊属は家庭裁判所のOKがあれば廃除可能

(ただし家庭裁判所のOKが難しいんです…)
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4.廃除できなかったら?

相続人が納得しなかったら「遺留分減殺請求」されるかも

遺留分は法定相続割合の半分

(配偶者4分の1、子4分の1、直系尊属6分の1)
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5.クリニックの建物や土地はどうなるの?

個人名義の場合→相続の対象

医療法人名義の場合→医療法人のまま(相続対象外)
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6.クリニックの経営は?

【個人クリニック】

開設者=管理者

つまり院長先生が亡くなるとクリニックは廃止。

新管理者が開設しなおすことになる。

表面上は「承継」「相続」した感じでも手続き上はオーナー(開設者)が変わるので廃止→新規開設が必要。

 

【医療法人】

開設者=医療法人

つまり理事長が亡くなっても開設者の変更はなし
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7.医療法人は相続対象??

役員の地位→相続対象外

※役員の選任は社員総会で決めるから

 

社員の地位→相続対象外

※ほとんどの定款では社員が死亡したら資格を失います。

新たに社員として入社するには社員総会の承認が必要。

 

拠出金(持分なし)→相続の対象

 

出資持分(持分あり)→相続の対象

※持分ありの出資持分は相続する人によっては経営難に陥るリスクも…
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見落とし厳禁~ 相続税について ~

相続税対策としてクリニック経営者に特に知って欲しいことをまとめています。
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1.相続税の対象財産

本来の財産→不動産、有価証券、現金・預貯金、動産(クリニックの医療機器なども含まれます)、貸付金、無形資産、書画・骨董品等…

みなし財産→生命保険金、死亡退職金、生命保険契約に関する権利、定期金に関する権利、債務免除益等…

※上記以外に、相続前3年以内に贈与された財産も対象
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2.財産評価上のお得な特例

小規模宅地等の特例:一定要件を満たす宅地を相続した場合

→その宅地の評価額が50%又は80%減額!

※クリニックの土地部分について対象となる場合アリ!

 

生命保険金、死亡退職金の非課税制度

→それぞれ「500万円×法定相続人の数」まで非課税
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3.相続税の対象財産から差し引けるもの

債務、葬式費用

※墓石等の購入費用、初七日法要費用、香典返しは対象外
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4.相続税がかからない範囲(基礎控除額)

「3000万円+600万円×法定相続人の数」までの正味の遺産額であれば、相続税額は0円
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5.相続税の税率

10~55%(8段階の累進税率)
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6.相続税から控除されるもの

贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除
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7.相続税の申告、納付期限

被相続人が無くなったことを知った日の翌日から10ヶ月 以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告書を提出。

相続税額がある場合は現金にて一括納付
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8.相続税の申告期限までに申告、納付が出来なかった場合

無申告加算税:20%

延滞税:2月以内2.8%、それ以後9.1%

がそれぞれペナルティーとして課税
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9.相続税の申告期限までに遺産分割が出来なかった場合

申告そのものは可能だが、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減等の適用が出来ない(但し一定の場合は適用可)
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10.相続税を現金一括で納付出来なそうな場合

延納制度→税額を分割して納税できる制度

物納制度→延納も困難である場合に税額を相続財産で納税できる制度

※但し

!申告期限内に申請書を提出しなければならない

!申請書の作成が煩雑

!申請しても許可されるとは限らない

!許可が下りるまで時間がかかる

!利子税が年3.6~6%かかる

!物納できない財産が色々ある

などデメリット、リスクが多く、正直おススメ

出来る制度ではありません!
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③まとめ

クリニックの相続や承継をお考えの院長先生や理事長先生にぜひ知っておいて欲しいポイントを挙げていきました。

しかし、最後までご覧いただいた方はお気づきだと思いますが、必ずしもご自身に当てはまる内容とは限りらないと思います。

基本的な部分では同じでも、個別の事情により抑えておくポイントは異なります。

一つとして同じ事例はないので、あくまでも一般的な内容としてご確認いただければと思います。

個別のご相談についてはお気軽にお問合せフォームよりご連絡くださいませ。

※相続税のご相談を直接「加納税務会計事務所」へされる場合には「エムイーのホームページをみた」と言っていただければスムーズです。

 

 

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