司法書士の先生へ 医療法人の登記の注意点
普段は医療法人化をご検討中のクリニック様、手続きをしたい医療法人様へ向けてブログを記載しております。
このページではイレギュラーですが、医療法人の登記をしたい、する司法書士の先生たちへ向けて記載させていただきます。
株式会社の登記は熟知していても医療法人はよくわからない、そんな司法書士の方も少なくありません。
医療法人は株式会社とは異なり独自のルールがあります。
用語など私の感覚で記載するのでアバウトな部分もあるかもしれませんが、大まかな内容についてはご参考にしていただけると思います。
また、気づいたらその都度、追記して更新していくようにします。
司法書士の先生たちと一緒により良い連携を取っていきたいので、「用語が変」「こんなことも追記したら」などご指摘があれば遠慮なくご連絡くださいませ。
1.医療法人の登記の期間
医療法人の登記は「組合等登記令」が根拠法になります。
設立は手続き終了から2週間以内、主たる事務所や目的変更などは効力発生から2週間以内に登記をしなければいけません。
この登記の期間の始期ですが、組合等登記令の第24条では次のようになっています。
(登記の期間の計算)
第二十四条 登記すべき事項であつて官庁の認可を要するものについては、その認可書の到達した時から登記の期間を起算する。
ここで注意してほしい部分は「認可書の到達した時」の部分です。
「認可書の到達した時」≠「認可日」です。
関東では認可が下りると役所から電話やFAXで連絡があります。
その後、役所へ認可書を取りに行きます。
その認可書を受領した日が「認可書の到達した時」となります。
なので、必ず行政書士へいつ認可書を取りにいったか確認するようにしてください。
2.まだ存在しない診療所
設立、移転、分院開設など。
登記をするときは「目的等」の診療所の名称や所在地を追加したり削除したりします。
でも、登記をした時点では診療所はこの世にまだ存在しません。(削除するときは登記後も存在することがあります)
一般的に登記は原因が発生した後、つまり事後に申請すると思います。
しかし、医療法人では設立登記をしたとき、目的に分院を追加したときなど、登記をする瞬間には目的に記載する診療所はこの世に存在しません。
医療法人の「効力発生日」は「認可書到達日」ではありますが、その後に保健所へ許可をもらわないと診療所を開院することができないからです。
順番としては
認可 → 登記 → 保健所へ許可申請 → 「目的」に記載されている診療所を開院してOK
「鶏が先か、卵が先か」みたいな感じがしますが、存在しない診療所を登記してから診療所を作ることになります。
3.役員について
医療法人の役員任期は「2年ピッタリ」です。
株式会社のように「2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで」とかではなく、本当に2年ピッタリです。
登記する役員は全員ではなく理事長だけです。
理事長は変更がなくても2年に1度、重任登記が必要になります。
例えば任期が3月31日までなら、登記の重任の日は「4月1日」になります。(くどいですが2年ピッタリなので)
理事長重任登記では理事会議事録を添付書類として法務局へ提出しますが、押印者を「出席した理事長及び監事」としてもOKとなりました。
もし定款で「出席した理事及び監事」ではなく「出席した理事長及び監事」となっている場合には、理事会の押印は理事長と監事だけです。
定款でそのようになっていたら、登記のときには忘れずに定款も添付してください。
補足として、医療法人は家族経営のような小さな法人でも、株式会社のように役員任期を10年まで伸長することはできません。
移転や分院を開設したりしなくても、必ず2年に1度は理事長の重任(または変更)登記が、毎年決算後には資産総額の変更登記が発生します。
参考:医療法人が毎年決算後に必要な手続き、医療法人の役員変更届
4.行政書士からのお願い
残念ながら行政書士の中では自分で登記をしてしまう人もいますが、私はお客様へそのようなリスクを負わせたくはありません。
必ず登記のプロである司法書士を通して、医療法人の確実に登記申請をしていただくようご案内しております。
同じように司法書士は許認可のプロではありません。
手続きの流れ、現場を熟知しているのは行政書士です。
何かあれば必ず行政書士へ確認を取りながら登記を進めてください。
このブログの内容など、弊所へのご指摘やご質問は喜んで受け付けております。
しかし、一番、その医療法人の手続きのことを知っているのは、現場で手続きをしている行政書士です。
自己判断で進めず、連携先の行政書士へ確認を取りながら、お客様のために確実に医療法人の登記を進めてください。
司法書士の先生が私たち行政書士を信用せずに自己判断で処理を進められると「自分で登記をしたほうがマシだった」と思ってしまう結果を招きます。
ほとんどの司法書士の先生は問題ないと思いますが、どうか行政書士を信じで連携を取っていただければ助かります。
行政書士から生意気な発言で申し訳ございません。
また、最後までお読みいただきありがとうございます。
司法書士の先生方に伝えたいことを思いつくままに書いたので読みにくい部分も多かったと思います。
今後も私は司法書士の先生たちと連携し、登記を含めお客様へリスクを負わせたくないので、どうかよろしくお願いします。