医療法人のメリット・デメリット
医療法人のメリットとデメリットをまとめてみました。
ブログ開始からずっとまとめたかったのですが、税務面でアバウトなことを記載したくなく躊躇していました。
そこで医療法人に強い税理士に監修をお願いしました。
医療法人に詳しい行政書士&税理士がまとめた医療法人のメリット・デメリットです。
法人化を迷っている院長先生のご参考になれば幸いです。
また「メリット・デメリットはもう聞き飽きた!リスクを知りたい!」という先生は「医療法人化したときのリスク」をご参考にしてみてください。
1.医療法人のメリット
税率が低くなる
所得が一定額を超えると 所得税 > 法人税
「役員報酬」として理事長やその家族への給与の支給が可能
所得税は累進超過税率の為、所得が高くなればなるほど税率が上昇するが、適切に給与を家族に分配することで、世帯全体の納税額圧縮が可能。しかも給与所得は給与所得控除があるので、課税対象は給与額面より少なくなり納税額も減少
相続税・贈与税の負担軽減
平成19年以降に設立の医療法人は出資持分(個人名義の資産)という概念がないので、医療法人名義の財産には相続税が発生しない
生命保険料を損金へ計上できる
個人では生命保険料控除は最高で12万円だが、法人は上限なし
役員へ退職金を支払い、損金へ計上できる
退職所得は給与所得より税制が優遇
社会保険支払基金から支払われる診療報酬からの源泉徴収がなくなり満額入金される
法人化により資金繰りがラクになる
法人枠での借り入れ可能
一般的に金融機関の借入限度額は 個人 < 法人
事業承継手続きが容易
【個人の場合】
新院長で診療所を開設しなおし
診療所、医療機関コード、負債名義、通帳名義、
その他諸々変更
【法人の場合】
開設者は「医療法人」で変更なし、人員変更のみでOK
社会的信用性
求人に有利、金融機関への信用度高 患者への信用度高
事業拡大
分院開設、付帯業務など幅広く事業展開ができる
参考:「医療法人にしたらできること(分院や附帯業務について)
2.デメリット
交際費の一部が不算入
個人は限度額なし、法人は上限あり
法人のお金は院長の自由にならない
【個人の場合】
所得の使い道は自由
(個人&診療所どちらにいくら使ってもOK)
【法人の場合】
個人で使えるお金は役員報酬で固定される
赤字でも法人住民税支払いの義務がある
最低年7万円(事業年度が1年未満の場合は事業月数で按分)の納税が毎期発生
解散した場合、法人の財産は国や地方公共団体に帰属する
医療法人に残余財産があっても理事長(拠出者)に戻ってくるお金は0円
社会保険加入義務の発生(従業員の人数に関係なく)
法人化後は原則「厚生年金及び協会けんぽ」
ただし、個人開業の時に医師・歯科医師国保に加入している場合は引継ぎ可能
(所属の医師・歯科医師会により規定は異なる)
各種手続きが煩雑になる
毎年決算後の手続きあり(毎年手続きが発生!)
役員任期は2年(2年ごとに手続きが発生!)
設立、解散、移転など役所のOKが必要
開示する情報が増える
役所へ行けば決算届(≠決算書)の閲覧が誰でもできる
登記事項に理事長のフルネーム&自宅住所が記載される
3.まとめ
ここでご紹介した「医療法人のメリット・デメリット」はあくまでも目安です。
具体的なメリットやデメリットは個別の事情により異なります。
詳しくは個別にご相談くださいませ。
【医療法人化をご検討中の院長先生へ】
医療法人に興味はあるがよくわからない…
そんな院長先生の為に定期的にセミナーを開催しています。
医療法人に詳しい行政書士と税理士が講師だから安心。
詳しくは↓をご覧ください。
医療法人化診断セミナー