クリニックが医療法人になるまでの期間とスケジュール

注)医療法人化をご検討中の院長先生が、おおまかに流れをイメージできるように解説しています。

個人クリニックが医療法人になるには、どれくらいの期間がかかるか、どんなスケジュールなのか。

専門的な用語や詳細部分は省いております。

「 専門的なことを詳しく知りたい!」 といった方にはもの足りないかもしれません。

また、無床診療所を想定しております。

  

1.クリニック(無床診療所)が法人化するまでの期間

院長先生が 「 クリニックを法人化する!」 と決めてからどれくらいの期間で手続きが終わるのか。

もちろん検討中の期間は含みません。

実際に専門家へ相談して準備を開始してからの期間です。

期間はおおよそ1年ほどです。

といってもあくまでも目安です。

役所によって年間の申請受付の回数や時期、期間は異なりますので、クリニックの所在地によって違ってきます。

東京都を例に挙げると、医療法人設立認可申請の受付は年に2回です。

9月初旬の受付で申請を申し込んだ場合、すべての手続きが終わるのは翌年4月か5月頃になります。

受付後は役所ごとに日程が決まっているので、クリニックの所在地によって期間は固定されます。

しかし、受付までの準備に関してはクリニックによって異なります。

ですので、専門家へ依頼してからおおよそ1年ぐらいを目安としていただければと思います。

クリニックの所在地ごとに医療法人設立認可申請の受付以降の期間・日程は決まっています。

2.医療法人になるまでのスケジュール(無床診療所の場合)

スケジュールはざっと以下の流れになります。

といっても、実務上は前後して準備をしますので一つの作業が終わってから次の準備に取り掛かるわけではありません。

おおよその目安としてご覧いただければと思います。

  1. 役所へ事前審査の申込み
  2. 医療法人設立認可申請
  3. 登記
  4. 保健所
  5. 厚生局
  6. 公費負担
  7. その他の手続き

  

1.  役所へ事前審査の申込み

クリニックを医療法人にするには 「 医療法人設立認可申請 」 をします。

都道府県知事(または市長)へ申請し、認可が下りないと法人を設立することはできません。

※知事宛か市長宛かはクリニックの所在地によって異なります。

正式な申請の前に素案という申請書類の原案のようなものを役所へ提出し、事前審査を受けます。

その素案の提出には受付期間が決まっています。

役所により異なりますが、ほとんどが年に2回、多くても3回。受付期間は1週間ほどです。

この受付のタイミングに合わせて素案を作ります。

この素案作成期間はそれぞれのクリニックによって異なります。

たくさんの書類準備もそうですが、法人名や社員・役員を誰にするかなど決めることがたくさんあります。

(参考:医療法人社団の社員と役員~人選のポイント~

また、クリニックを賃貸している場合には大家さんに法人化して大丈夫か確認もしていただきます。

その他諸々…

早いクリニックさんですと1~2週間で書類がそろう場合もありますが、稀です。

できれば2~3か月、少なくても1ヶ月は受付までの準備期間として見ていた方が安心です。

  

2. 医療法人設立認可申請

役所の受付期間内に素案という書類を提出したら、役所から色々と連絡があります。

細かな修正指示や追加資料の提出などです。

それが終わって本申請。

申請書類にハンコを押して役所に申請します。

  

3. 登記

申請後、認可が下りたら今度は法人の設立登記をします。

この登記の日が医療法人設立の記念日になります。

ここで 「  医療法人設立 」 になります。

※登記が終わったら、役所へ 「 登記事項届 」 (役所により名称は異なります)を提出します。

ここまででは単に「医療法人」ができただけです。

クリニックを医療法人化するにはまだまだ手続きが必要です。

  

4. 保健所

登記が終わって晴れて医療法人が設立しました。

しかし、まだこの時点ではクリニックは個人クリニックのままの状態です。

開設者を院長先生個人から医療法人へ変更する必要があります。

現在のクリニックを開院する時には開院後に保健所へ 「 開設届 」 を提出しましたよね。

法人がクリニックの開設者になる時は、「 開設届 」 の前に 「 開設許可申請 」 をします。

医師以外の者がクリニックの開設者になる時には許可が必要だからです。

医療法人は医師ではないので、この 「 開設許可申請 」 が必要になります。

許可が下りたら個人院を廃止 ( 廃院 ) して、医療法人名で開設届を提出します。

自由診療のみの場合はここまでの手続きで終わりです。

ここまでの手続でやっとクリニックが医療法人として開設 ( 開院 ) することになります。

  

5. 厚生局

保険診療をしている場合は、開院の時に保険医療機関指定申請をして保険医療機関コードを取得しましたよね。

この保険医療機関コードも個人クリニックのものは使えなくなります。

医療法人用の新しいコードを取得します。

ただし、新規開業とは異なり遡及指定が適用されるので、診療所としてはタイムラグなく保険診療ができます。

また、施設基準についても個人 ⇒ 医療法人 への手続きが必要になります。

  

6. 公費負担

各種公費負担についても保健所や厚生局と同様に個人院 ⇒ 医療法人 への変更が必要になります。

  

7.その他の手続き

6.までの手続きでクリニックの法人化手続きは終了です。

しかし、まだ手続きはあります。

個人 ⇒ 法人 へ変わったので、院長先生や従業員の社会保険加入手続きが必要です。

(例外として、医師国保継続、従業員の社会保険加入不要の場合もあります)

また、税務署へ各種届出も必要です。

注意)文章中の説明でわかりやすく「変更」と表記していますが、実際の手続きは変更ではありません。また、一部省略している手続きもございます。

  

3.まとめ

ざっと医療法人化の流れを解説しました。

一部省略している手続きもありますが、おおよそのスケジュールの流れをイメージしていただければと思います。

実際に医療法人にするためには決めなければいけないことがたくさんあります。

法人化後に後悔しないためにも、余裕をもって準備されることをお勧めします。

ご自身のクリニックを法人化しても大丈夫かどうかご不安な場合にはまずはお気軽にご相談くださいませ。

  

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